現象:吐出し配管が閉塞
測定データ:吐出し量=少、吐出し圧力=高、締切り圧力=正常
吐出し配管が閉塞すると、吐出し配管内を液体が流れにくくなり、吐出し量が減少するということは素人でも感覚的に分かる。蛇口につないだホースを踏んづけると、水道水がチョロチョロとしか出なくなるのと同じだ。
2.性能の考察
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図1.性能曲線 |
それに伴い、吐出し量はQ1からQ2へと減少する。
3.その他の測定データ
吐出し配管が閉塞した場合の、その他の測定データは下記となる。
・吸込み圧力:変化無し、または微増
・締切り圧力:変化無し
・電流値:遠心羽根の場合=小、斜流羽根=変化微妙、軸流羽根=大
・振動値:変化無し、または大
・ポンプ内液体温度:変化無し、または大(閉塞が酷い場合)
4.発生原因(例)
・吐出し配管の内壁にスケールが付着
・吐出し配管の内部に異物が混入
・吐出し配管のバルブが全開ではない(閉止、半開状態)
・逆止弁の動作不良(固着等が原因で全開にならない)
・吐出し配管の配管径が小さい(設計の誤り)
・吐出し配管が長すぎる(設計の誤り)
・吐出し配管のヘッダー管を共有している他ポンプと並列運転
5.アドバイス
吐出し配管の閉塞が酷い場合、ポンプ内液体温度が急上昇する。羽根車で圧縮された液体のエネルギーの逃げ場所が無く、それが熱エネルギーとなって液温を上昇させるのだ。
この傾向は、小容量で高揚程のポンプ(2極の電動機の場合など)で激しくなる。
6.体験談
「ポンプの吐出し量が減少したため、新しいポンプに更新したのだが、全く改善しなかった」と相談された事が何度かある。ある現場では、吐出し配管の内壁にスケールがびっしりと付着していた。井戸水を揚水するポンプで、地下水に含まれる鉄分が長い年月を経て吐出し配管の内壁に付着したのだ。
ポンプの吐出し量が減少した=ポンプが悪い!とは限らない。配管、電動機、電気設備、制御機器・・・あらゆる原因を想定しながら、測定データに基づいて、定量的に判断したい。
以上
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