2018年10月23日火曜日

回転速度が低下

1.概要
現象:回転速度が低い
測定データ:吐出し量=少、吐出し圧力=低、締切り圧力=低

ポンプの回転速度が遅くなると、吐出し量、吐出し圧力ともに低下する。遠心ポンプは遠心力で液体を搬送する機械なので、それをイメージするのは容易であろう。

2.性能の考察
図1.性能曲線
回転速度が低下すると、性能曲線は吐出し量がゼロから最大に至るまで全吐出し量で全揚程が低下する(図1参照)。
抵抗曲線はあまり変化しないので、運転点がAからBへ移り、全揚程はH1からH2へと小さくなり、その結果、吐出し圧力が低くなる。また、吐出し量はQ1からQ2へと減少する。
この傾向は、「ライナリングの摩耗」と全く同じである。

3.その他の測定データ
回転速度が低下した場合の、その他の測定データは下記となる。

・吸込み圧力:変化無し、または微増
・電流値:小
・振動値:変化無し
・異音:変化無し
・回転速度:低・・・【重要】

4.発生原因(例)
・インバーターの出力周波数が小さい
・60Hz地区のポンプ(電動機)を50Hz地区で使用
・マグネットポンプの磁力低下・・・すべり大となる
・プーリー径の間違い
・ベルトの滑り

5.類似の現象との区別
ライナリングの摩耗」の場合、回転速度が低下と似た測定データで、吐出し量=少、吐出し圧力=低、締切り圧力=低 となる。
明白な違いは電流値である。回転速度が低下の場合、遠心羽根では電流値が小となるが、「ライナリングの摩耗」の場合は電流値が大となる。
また、明らかに回転速度が異なる。回転速度計(タコメーター)があれば、回転速度も測定しよう。
表1.電流値・回転速度の違い

6.体験談
筆者はマグネットポンプの磁石が劣化して回転速度が低下したトラブルを体験したことがある。
接液部のマグネットを包む樹脂部分に傷が生じ、その傷穴から、硫酸か次亜塩素酸ソーダか忘れたが、液体が浸入して磁石を劣化させたのだ。
マグネットポンプは回転体を外から見ることが出来ない。そのため、回転速度の測定をすることが出来ずに、なかなか原因の断定が出来なかった。
分解してみると、磁力が明らかに低下しているのが分かり、それを確信することができた。

7. 修正履歴
2018-10-24:表1の電流値について誤記訂正
以上

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