2018年11月1日木曜日

吸込み側で空気が混入

1.概要
ポンプの運転中は、吸込みが押込み圧である場合を除いて、吸込み配管から、羽根車の入口に至るまで、負圧(大気圧より低圧)となる。そのため、シールやパッキンの状態が悪いと、そこから空気を吸いこんでポンプの運転に悪影響を与える。

現象:吸込み側で空気が混入
測定データ:吐出し量=少、吐出し圧力=低、締切り圧力=正常(例外あり)

2.性能の考察
吸込み側から空気を吸いこむと、ポンプが搬送する流体のうち一部分を空気が占めてしまうため、液体の流量(=吐出し量)は減少してしまう。
これは、吸込み配管が閉塞してキャビテーションが生じて吐出し量が減少するのと似た現象であり、同じような性能的な変化が発生する。以前に記事に上げた「吸込み配管の閉塞」を参照して頂きたい。ここでは同じ説明を省略する。

3.その他の測定データ
吸込み側で空気が混入した場合の、その他の測定データは下記となる。

・吸込み圧力:大気圧(0MPa)に近くなる
・電流値:小
・振動値:大 ・・・回転周波数とは無関係な振動
・異音:やや大 ・・・気泡を攪拌する音

4.発生原因(例)
・吸込み配管に穴が開き大気開放となっている
・吸込み配管中のパッキンが不良
・グランドパッキン、メカニカルシールの破損
・グランド部への注水(シール水)配管の閉塞
・吸込み側タンクの水位が低い(渦から空気を巻き込む)
・吸込み側タンク内で、吸込み配管の取り込み口付近に落水があり、気泡を吸込んでいる

5.類似の現象との区別
吸込み配管の閉塞」は、吸込み側で空気が混入と似た測定データで、吐出し量=少、吐出し圧力=低、締切り圧力=変化無し となる。違いは吸込み圧力である。吸込み側で空気が混入の場合、吸込み圧力が大気圧に近づく(上昇)のに対し、「吸込み配管の閉塞」は吸込み圧力が大きく低下する。
表1. 吸込み圧力の違い

6.アドバイス
①本項で述べている空気の問題は、運転中に吸込み側から空気を吸い込んだ際のトラブルについて述べている。ポンプの起動時や立ち上げ時に、呼び水等を充分にせずに発生する揚水不良の状態とは現象や対策が異なるので、注意して頂きたい。そちらについては、いづれ投稿したい。

②吸込み圧力計が無い場合、測定データだけで「吸込み配管の閉塞」との違いを判断するのは困難である。まわりの状態や設置状況を見て判断しよう。例えば下記の点をチェックして判断する。
・吸込みタンクの水位・・・低い場合 →「吸込み配管の閉塞」
・吸込み配管の周辺の床が濡れている →「吸込み側で空気が混入」
・その他
このような判断ができると、フィールドプレイヤーとしてワンランクアップだぁ!
以上

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